最近ではスポーツ・競技として捉える「eスポーツ」なるものが話題になっています。

一方で、2019年5月に世界保健機関(WHO が、ゲームにのめり込み生活や健康に深刻な影響が出 た状態を「ゲーム障害」(ゲーム依存症)と呼び、精神疾患と位置付ける正式決定したことも、メデ ィアで大きく取り上げられています。

このゲーム依存症について、国立病院機構久里浜医療センターが、数年前に新潟市で開催された日 本精神神経学会で、「ゲームで習慣的に遊び始めた年齢が低い人ほど、中学生なったときのゲームへ の依存度が強い」という調査結果を発表しました。
調査の詳細を見てみると、調査実施は2018年6月、対象は神奈川県内公立中学校8校の1年生、868 人のうち「週一回以上ゲームがしたことがある」と答えた549人です。調査結果は次の通り。(※ここ でいう習慣的とは週1回以上のこと)

中学時点で軽いゲーム依存状態に該当する生徒
 10歳以上でゲームを習慣的に始めた生徒の場合:約3%
 5歳以下でゲームを習慣的に始めた生徒の場合:約13%

中学時点の休日のゲーム時間
 10歳以上でゲームを習慣的に始めた生徒の場合:平均約1時間20分
 5歳以下でゲームを習慣的に始めた生徒の場合:平均約2時間50分

いずれの項目も「5歳以下でゲームを始めた生徒」は「10歳以上でゲームを始めた生徒」の2倍以上 の数値になっています。 久里浜医療センターの精神科医中山先生は、ゲーム依存のリスクを下げるために次のような対策を すすめています。

 ゲームで遊び始める年齢を遅くする
 親自身もスマホゲームのやりすぎに注意する
 1日のゲーム時間を決めるなど家庭内でルールを作る

しかしながら、世界的なテクノロジー起業家はゲームに触発された人も少なくないそうです。過去 にない迫力ある表現や機能を追い求める姿勢が、テクノロジーを進化させる力になるとのこと。また 、拡張現実(AR を用いたアプリ「ポケモンGO 」を開発したナイアンテック最高経営責任者ジョン・ ハンケ氏は、「ゲームは新しいテクノロジーを試すのにいい場所だ」と述べています。また、心理学 などによると、やりがいのある活動に励むことや成功の手応えが人の幸福感を高めるそうです。

ゲー ムで体験できる「努力すれば手が届く目標の設定」「達成度の可視化」「他者との交流」などの要素 は、現実社会で大いに生かすことができ、社会人はもちろん教育を受ける子どもたちにも有効的であ ると考えられています。
ゲームというものをみつめなおしてみると、テクノロジーを進化させる力になっていたり、ビジネ スや教育に生かせる要素を持っていたりと、確かにバカにできませんね。しかし、世界保健機関 (WHO によりゲームに依存しすぎることが「ゲーム障害」と認定されたことも事実です 。

うまく付き合っていけるよう学校と家庭、そして社会で価値観を共有し ていくことが大切だと考えています。