「ひきこもり」という言葉は多くの人が知っていますが、その実態は知られていません。当事者は、自宅や自室からほとんどでることなく、社会との接点をあまり持ちません。家族も知られたくないため、隠す傾向があります。そのため「ひきこもり」状態にある人が増え続けているにも関わらず、社会問題として共有されていません。

 

内閣府は平成30年度に中高年のひきこもりの調査を行いました。調査は全国の市区町村に居住する満40歳から満64歳までの全国5,000人とその同居者を対象とし、調査員が調査対象者の自宅を訪問して調査表を渡し、後日訪問し、調査表を回収する方法で実施されました。この調査でひきこもりの定義は、「ふだんどのくらい外出しますか」の問いに対して「趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」「自室から出るが、家からは出ない」「自室からはほとんど出ない」のいずれかと回答し、かつその状態となって六ヶ月以上経つ者としています。ただし「病気がきっかけで現在の状態になったもの」「なんらかの仕事をしている者」「家事、介護、看護、妊娠、育児をしている者」これらを除いた者を広義のひきこもりと定義しています。

この調査の結果、満40歳から満64歳までのひきこもり出現率は1.45%でした。調査対象である満40歳から満64歳までの人口は、全国で4,235万人ですので、この年代のひきこもりの推計数は、61,3万人にもなります。

また、平成27年度には、満15歳から満39歳までを対象にひきこもりの調査が行われました。平成 27 年度の調査の結果、この年代のひきこもり出現率は 1.57%でした。平成 27 年度調査時の調査対象である満 15 歳から満 39 歳までの人口は、全国で3,445 万人であるため、この年代のひきこもりの推計数は 54.1 万人になります。

この2つの調査結果から、満16歳から満64歳までのひきこもり出現率は1.54パーセントであり、全国で約115万人もの人がひきこもり状態であると推計されました。

内閣府の調査結果では、40〜64歳までのひきこもり当事者の推計人数が約61万人と、40歳未満の約54万人を上回りました。若者のイメージが強い「ひきこもり」ですが、むしろ中高年の問題だという事実が浮き彫りになりました。

 

では、長岡市で「ひきこもり」状態にある人はどのくらい、いるのでしょうか。

長岡市の15歳〜39歳の人口、64,238人にその年代の全国割合1.66% で算出すると、長岡市の15歳〜39歳のひきこもりは、1,066人と推計されます。

同様に、40歳〜64歳の人口87,948人に全国割合1.45%で算出すると、長岡市の40歳〜64歳でひきこもり状態にある人が1,275人いると推計されます。

このように、内閣府の調査結果を使った計算では、長岡市では15歳から64歳の年代でおよそ2,300人の方がひきこもり状態にあると推計されます。市内の全世代では、2,500人前後と推定され、市内の全人口のおよそ1%弱がひきこもり状態にあると推定されます。

長岡市人口のおよそ1%弱がひきこもりというのは、推定にすぎませんが、この数字からもひきこもりはすでに身近な課題となっていると言えます。

 

長岡市議会議員 桑原望