こんにちは。発達支援ユニコーンこしじ教室理学療法士の笹川と申します。
私は以前20年以上小児病院に勤務していました。その経験から得た知見に私見を交えて発達についてお話させていただきます。
こどもmirai研究会は子どもの発達に関わる全ての方に開かれている研究会です。
では、発達とは何でしょうか?
いろいろな立場から様々な定義があるようですが、私は「発達とは環境に適応して様々な目的のために身体的、精神的に変化すること」と考えています。
赤ちゃんはおおよそ40週もの間、子宮というほぼ無重力の暗闇の中で大きくなっていきます。この間ただプカプカと羊水の中に浮かんでいるのではなく、出生後の強烈な光や音、重力の世界で生き延びるための術を身につけていきます。お母さんのお腹の中から外界へ出た赤ちゃんはただ寝ているだけのように見えるかもしれませんが実は劇的に変化した環境に適応するべく必死に頑張っています。
では、赤ちゃんはどうやって環境に適応していくのでしょうか?
そのカギとなるものの一つが感覚です。赤ちゃんは胎生期からこの感覚を駆使して発達していきますが、見た目にわかりやすいのはうつ伏せでしょうか。最初はうつ伏せになっても顔が横を向くことはなく口が床面についています。実はこの時赤ちゃんは口で重心の変化を感じ取り徐々に自分の身体や空間を認識していきます。このうつ伏せがうまくできないと将来的にお座りなどの重力に逆らう機能の獲得が困難になっていきます。脳はヒトのすべてを支配しているかのように思えますが、脳は身体から入力された感覚の電気信号を筋肉が動くための電気信号に変換する役割を果たしています。つまり、脳はコンバータ(変換器)であり身体から入力される感覚なしでは何もできません。そして、不適切な姿勢では不適切な感覚入力となるため発達の妨げになる可能性があります。
最近は姿勢の悪い子供の姿を見かけることが増えてきました。登下校の子供たちの歩き方も気になります。身体から適切な感覚信号が入力されないと脳は様々な経験をすることが出来ずに身体機能や認知機能に影響することが懸念されます。
短いコラムの欄では感覚入力の重要性を語れませんが、きちんとした姿勢できちんと感覚が入力されないと外界とうまく関われません。
このコラムを根気よく読んでくださった皆さんもご自身の姿勢や歩き方をちょっと気にしてみてはいかがでしょうか。ひょっとすると新しい世界が開けるかもしれませんよ。