「129.3」という数字わかりますか?実はこの数字はドラえもんの身長と体重なんです。ドラえもんは,昭和44年12月から連載が始まり,当時から「身長129.3cm,体重129.3kg」と設定されていたそうです。作者の藤子・F・不二雄さん(本名・藤本弘さん)は,どうしてこの数字にこだわったのでしょうか?調べてみると,他にもこの数字は使われています。例えば…
胸囲→ 129.3cm
生年月日→ (21)12年9月3日
力の強さ→ 129.3馬力
ネズミに驚いたときのジャンプ力→ 129.3cm
ネズミから逃げるスピード→ 129.3km/h
などなどドラえもんにまつわる不思議なナンバー1293。これは一体何なのか?といいますと…。ご存知の方も多いかもしれませんが,「ドラえもんは子どもを見下ろさない」からなんです。
インターネットや,ドラえもんについて書かれている本を調べてみると,この数字は当時の小学校4年生の女子の平均身長からとったものらしいです。文部科学省の学校保健統計調査の年次統計によると,「129.3cm」は唯一,昭和43年度女子9歳児(小4)のデータのみでした。連載当初の「のび太」は小学校4年生でしたから,それを見下ろさない身長として,ドラえもんの身長を設定したのではないでしょうか?
常に子どもの目の高さを意識し続けた作者の藤子・F・不二雄氏,私達も忘れてはならない大切な視点であると思いませんか?
ところでこの129.3cm、どの位の高さかあまりピンとこない人も多いかもしれません。
実は一般的な郵便ポストの投函口の高さは、約129cmになっているそうです。「ポストに手紙を投函する」動作は、「ドラえもんの頭を撫でる」のとほぼ同じ動きなのです。
郵便ポストの規格も法律で決まっていて、車椅子の人でも投函できる高さなんですね。一見,ただの数字かもしれません。でも,深い意味があるんですね。
1996年9月23日,藤本弘さんは62歳で生涯を終えました。生前,「のび太」のモデルは自分自身と語っておられたインタビュー記事を目にしたことがあります。スポーツが苦手で,勉強もあまり好きでなかったと述べられていた藤本さん。多少の謙遜があるにしろ,のび太のため(つまり自分のため)に,いろんなことをしてくれるドラえもんを心から欲していたからこそ,この漫画は生まれたのかもしれません。なぜなら,子どもがもつ純粋な疑問を解決し,夢をかなえてくれるのがドラえもんだからです。
そして,ドラえもんのようにはいかないし,無理かもしれないけれど,のび太のような子どもたちに,いろいろな楽しさを伝えていくことが、私達大人の役目だと思うのです。
文責 長尾 昭浩